『物語 シンガポールの歴史』を読んだ

『物語 シンガポールの歴史』を読みました。 最近、初海外ということでシンガポールに行ったのですが、その前に買って、私が読んだのは今更という… 私がお世話になった教授に学びました。 “海外へ向かう時、その土地の歴史を知っておくことが、相手にとって礼儀になる” 。結構、頭に残ってて、こういう歴史はすべて正確に覚えるまでいかなくとも多少なりとも読んでいます。 内容は全体的に学びが多かったです。 “何の天然資源を持たない小さな都市国家の唯一の資源が人である” “国民が豊かな生活を満喫する傍らで、労働力の枯渇を原因に国家命題の経済発展が止まるかもしれない” 印象に残った箇所。ついつい、固定資産をあまり持たない、ソフトウェア産業になぞらえてしまいました。 人民行動党体制における国家運営とは、社会のさまざまな集団の利害調整だけではなく、企業経営と同様に専門家能力ひ秀でた者が効率性と合理性を原理に運営するものであるということである。 シンガポールの、発展に向けた戦略など、なるほどなーというものが多かったです。能力主義の良し悪し、独裁というか、管理重視の社会などの経験。それらの戦略を、国家全体をまるで企業経営のように運用していく形が良くも悪くも素晴らしいと思えました。 そういえば、シンガポールに対する日本占領の歴史を知らなかったことは反省すべきだなと感じました。 私個人のシンガポール旅行は、結構英語で話して、彼女以外とはほとんど日本語使うことがなかったです。英語がそれなりだったら、旅行、という範囲内だと苦なく楽しいですね。More

『人工知能 人類最悪にして最後の発明』を読んだ

『人口知能は人を超えるか』を読んだ 〜 シンギュラリティは突破されるかに引き続き、人工知能系の本を読みました。読んだ本は 人工知能 人類最悪にして最後の発明 です。 今まで、人工知能系の本は良い、挑戦的な明るい未来を描いたものが多かったのですが、それとは異なる思想、意見のものを読みたかったということが一番の動機です。 結果、予想通り?読み終わった後、人工知能がAGI(Artificial General Intelligence)、さらにはASI(Artificial Super Intelligence)になったときの危険性のことだけが頭に残った感じです。人工知能が人にとって制御不能になったときの危機感を強烈に書き続けているものですね。 読んでいて頭に残ったのは以下の引用です。 AIは人間を憎みもしないし愛しもしないが、人間を構成する原資を何か別のことに使うかもしれない。 — エリエゼル・ユドカワウスキー、機会知能研究所研究員 機械は人を憎んで何かをするのではなく、人という原子の塊をどう使うとより良い世界になるかを考える、そんな感じの話をしているところです。 日に日に我々は、機械に従属するようになっていく。日ごとにより多くの人間が、機械の世話をする奴隷として拘束されていく。 今、Web界隈ではBotを使った業務支援であったり、何か通知を送るということをして私たち含むシステムを動かしています。そのような大きなシステムとしてみると、確かに今の段階ですでに機械に使われ始めているなーと感じました。また、定期的な通知をBotに送ってもらっているのですが、最近のHipChatの不具合で正しく動かなくなったときに、実際の作業に支障がでてきたことも、少しこの指摘を体現しているのでしょうか。 アップルの共同創業者、スティーブ・ウォズニアック氏が提唱した、チューリングテストの代わりになるテストである「 ミスターコーヒーテスト 」の話も面白かったです。これは、人のようか?を判断する、有名なテストとしてのチューリングテストよりも、より人として判断するのに単純なことをテストにしようという話で出てきたものです。 最後に、オートメーテッド・インサイツ社のスポーツ記事の自動生成とその必要性の話が印象的でした。課題に対して、機械による記事の自動生成を適用した事例です。このような課題解決に、まるで人のように文章を書く機械が必要とされるのは面白いですが、この本の思想からいうとだんだんと機械の影響力が上がることに頭を寄せないといけないのでしょうね。 私は、人工知能は何か人に役立つ未来を考えていた側の人です。ただ、これはエンジニア気質の人の多くの意見なのですが、やはりそれとは異なった感じを強烈に持つ人も多いのですね。テストエンジニアとして多様性を知っておくことが必要な立場である以上、異なる意見も頭に入れておきたいところです。More

『日本の大和言葉を美しく話す』を読んだ

『日本の大和言葉を美しく話す―こころが通じる和の表現』を読みました。 前々から、少しづつ読んでいたものです。 日頃から使っている表現もあれば、よく知らなかった表現もあり、視野を広げることができました。 他国の文化を知ると、自身の文化や面白さを知っているということが価値のあることなのだなと感じました。また、単に話したり表現したりするだけではなく、このような面白さを少し混ぜながら表現すると身近も少し面白いものになりますね。More

『デザイン思考が世界を変える』を読んだ

デザイン思考が世界を変えるを読みました。 この本は、デザイン思考やサービス工学といった、”体験”に焦点をあてたサービスづくりに関して言及している本です。 何か案を出すときは、着想・発案・実現の3つが重要だとよく言われます。本書では、それらも含め、実例を交えつつ”デザイン思考”に関して述べています。 様々に高度化してきた最近では、単なる壊れにくものが良いものという時代がではなくなってきました。そのため、サービスという体験、さらには体験自体に価値を織りなしていく様が重要な位置を占めます。それに伴い、サービス工学なども発達してきました。それは、多角的な角度から物事を見て、より良い体験を提供できるように構築していく考え方です。 デザイン思考、工学的な話も含めてざっと幾つか書籍を読んでいるのですが、この本は手にとって気軽に読めるサイズのものなので、時間を見つけて嗜んで見ると良いかもしれませんね 🙂More

『融けるデザイン ハードxソフトxネット時代の新たな設計論』を読んだ

前々から気になっていたのですが、融けるデザイン ハードxソフトxネット時代の新たな設計論を読んでみることにしました。 最近、より身直な存在になったハードとソフトウェア、ネットの関係を、デザインの視点からどう捉えられるのか知見をまとめたかったので。 ざっくりと、文系は人間の活動を研究の対象とし、理系は自然界を研究の対象とする学問といわれることがあります。著者の渡邊さんはその中で、高校時代にMacintoshiを心理学者が設計していることから、コンピュータに文系のノウハウを注ぎ込んでいることに驚きを受けたということから内容にはいっていきます。 人とコンピュータの関係を、ARを題材に本来は単なるアナログ世界をディジタル世界に持ち込むのではなく、知覚や行為の身体能力の拡張や強化であり、聴覚や触覚、行為や行動そのものもその適用範囲であると書いています。ただ、コンピュータが珍しい世界だったころはディジタル世界の浸透を助ける目的としての実世界のメタファを持ち込むことが有効です。一方、ディジタルが当たり前になってくると、実世界からメタファとして持ち得ないものがディジタルに登場してきます。そのため、ディジタルの”体験”を中心に、価値を形作ることが必要になってきます。 この時代の流れをAppleのスキュアモーフィズムという実世界のメタファを中心としたUIデザインと、基本的に実世界のメタファを用いないフラットデザインを例に説明していました。そう考えると、UXが最近もてはやされている裏には、メタファに頼らない、体験から価値を作るという考え方が単なる流行ではなく実世界に存在しない価値を作るためという話も納得できました。(流行だからやっている、書籍でかかれているAppleのスタイルを表面的に使っているだけという人も多いかもしれないが。。。) つまるとこ、今の時代は体験の設計が鍵であり、 社会レイヤ: 印象やブランド 文化レイヤ: ストーリー 現象レイヤ: 知覚・行為/身体性 を考慮した設計が必要だとされます。その中で、現象レイヤを含んだUI/UXは売れるための要素になりにくいうえに、説明もしにくい。だが、ここが欠けると社会/文化レイヤに特筆しない限り使い続けられない設計になると説明しています。 そこも含めた設計に関して、体験を中心としたものづくりの話をいろいろ根掘り葉掘りかかれているのがこの書籍でした。この書籍には、エンジニアリング的内容と、現象学、心理学が混ぜ合わされています。 ギブソンの生態心理学の話、「投げたボールはどこまで身体か?」という命題への考察を行いながら、自己帰属意識に関して述べられます。UXは、この自己帰属意識をいかに作り、育てるかが大事なのですね。 この本を読み終わると、品質関連の話で出て来る”魅力的品質”とか、そういったものの多くがこの書籍で体験としてまとめられている感覚になりました。対人間の話になるのでUI/UXは複雑さがありますが、サービスを開発する側の人はこういう知見も蓄えていきたいですね。More

『人口知能は人を超えるか』を読んだ 〜 シンギュラリティは突破されるか

人口知能は人を超えるかを読みました。GWの帰省時の移動のお供に。 がっつり数式な人工知能の説明本ではないですが、人工知能に対する取り組みの歴史的な移り変わりとその簡単な説明を把握する上ではとても面白い書籍でした。イヴの時間が表紙なのも、個人的に惹かれました。 私は大学でベイズ推定や隠れマルコフを学んだり、ほかの人がニューラルネットワークやオントロジーに触れていたこともありそれらを軽く学びました。なので、のちに書く人工知能のレベルでは、レベル3の端くれ程度はうっすらと想像がつきます。そのくらいの知識を持った上で読んでいました。また、オントロジーの話に関連してIBMのワトソンの話が出たりと、新しいネタを題材にもしているので楽しく読むことができました。 SF好きの人も、この本は楽しめそうですね。 人口知能は大きくわけて以下の4つに区分されていて、歴史とともにその移り変わりや流行りがどうなってきているかが書かれていました。 レベル1: 単純な制御プログラム レベル2: 古典的な人工知能。入力と出力の組み合わせが極端に多いもの。 レベル3: 機械学習を取り入れた人口知能。推論の仕組みや知識ベースがデータをもとに学習されているもの。 レベル4: ディープラーニングを取り入れた人口知能。機械学習をする際のデータを表すために使われる変数自体を学習するもの。 レベル4のディープラーニングは最近流行ってますが、多層ニューラルネットワークという説明が少し本書にも書いていて、少し中身が見えた気がします。 Siriのようなものは、イライザと呼ばれる、レベル2の段階で知性があるように見えている状態だというところも、書かれると確かにそうだなーという感じ。 IBMのワトソン、シェフワトソンなどで有名ですが、ライトウェイト・オントロジーと呼ばれる領域のものだとは知りませんでした。(そういうようにオントロジが分けられていることも) ニューラルネットワークに、意図的にノイズを埋め込んで少ない学習で良い成果をあげるという考え方、面白かったです。ソフトウェアテストだと、fault injectionや自動エラー検出とか、そういう考え方につながるものがありますね。 そういえば、シンギュラリティが突破される世界がくるのか、楽しみでも怖さでもありますね。ターミネータの世界がくるのかどうか。 ディープラーニング、Software Testでも使えそうなので、少し手を出してみたい感。More

『コーディングWebアクセシビリティ』を読んだ

コーディングWebアクセシビリティを読みました。 Apps For All – Coding Accessible Web Applicationsの翻訳版です。 Webに限らずアクセシビリティの重要さは前々から言われてきたことですね。そのW3Cで進められているWAI-ARIA(Web Accessibility Initiative-Accessible Rich Internet Applications)に関して書かれた本です。 すぐに役立つわけではないけれど、すべての人がWebやモバイルアプリなどに触ることができるようになると、需要は低いかもしれないけれど確実に無視されがちな人たちにもハッピーを届けることができそうな気がします。(なので、無知ではいけなさそうだと読んでみました) 技術的な目新しさというよりも、アクセシビリティとして大事だよね、という話。 MozilaでAccessibilityのQAを担当している人のブログもおまけ: https://www.marcozehe.de/ Chrome Extentionで、表示しているWebページのアクセシビリティを確認できます: https://chrome.google.com/webstore/detail/tenon-check/bmibjbhkgepmnehjfhjaalkikngikhgj?hl=en-USMore

『コンピュータシステムの理論と実装』を読んだ(というか、さっと眺めた)

積読消費週間。 コンピュータシステムの理論と実装 ―モダンなコンピュータの作り方を読んでみました。 書籍の読者対象が”大学院生”と書かれていたので、ざっと眺めて、学んだことはないが今学んでいた方が良さそうなものを知る為、でした。新入社員の季節ですしね。 結果としては、特別な目新しいものはなかった、という感じです。ただ、これは大学/大学院と情報系といわれる分野を学んでいると、基本的には全部触れたことがあるような内容が丁寧に網羅されていたため、という非常に良い意味ででした。さすが、読者対象のど真ん中。(ちなみに、私は2011年3月に院を卒業した、という人です。) フリップフロップの話やら、OSの話やら。数学的な理論よりの話も入ってて、コンピュータサイエンスを学んでいなかった人が、学ぶという意味ではとても良いものな気がしました。 私も忘れているものもありましたが(読んでて、やったな〜という感じ)、これ1冊で主要な内容が網羅されているのは良いですね。索引として強い。興味ある分野はよりちゃんとした書籍を読み始めるとなおよし、という感じですね。More

『リファクタリング:Rubyエディション』を読んだ

最近は積読消費週間。積読だった、リファクタリング:Rubyエディションを読んだ。 いつだったか、t_wadaさんのTDDの説明の中で紹介のあった、リファクタリングの書籍に興味を持って購入したやつです。 “エンジニア”と名がつく以上、開発に特化する人も、テストに特化する人も、リファクタリングとは1度くらいは付き合う必要があると思います。テストエンジニアだとテストツールやテストコードが主になると思いますが、製品コードを読むし、必要であれば修正することもそれなりにあるはずです。これは、そんな時の助けになると思い購入していたやつです。 コード書きながらでないとよく分からないところなんかはコード書きつつも、基礎的な考え方は多少プログラミングや設計を学ぶと至るであろうことが丁寧にまとめられている感じ。こういう書籍で、経験をまとめて腹に落とすことができるって、先人の功績を享受できる年代の美味しさですね。ありがとうございます。 Rubyだとそれらをどう行うか、Ruby固有のメソッドでどう簡単に実現するか、というところが言及されててすごく役立ちました。 個人的には暗記が得意ではないこともあり、こういったものはひたすらに暗記するのではなく、実務で必要な時に索引できるよに頭の中にある程度の索引を作っておけることを重要だと考えています。頭の中に多少なりとも索引可能な状態にしておくと、Ruby以外の言語でもこうしたいとか、考えるときに探すあてになったりもしますし。必要であったら、本を持ってコードと向き合いつつ、必要なところをピックアップして体験にも馴染ませる、という感じでしょうか。 ゲートウェイパターンとか、Web開発で肥大化に立ち向かう上では必須なやつだなーとつくづく思う最近でした。More

『スマホに満足してますか?~ユーザインタフェースの心理学~』を読んだ

スマホに満足してますか?~ユーザインタフェースの心理学~が面白そうだったので読んでみました。POBoxやiPhoneの日本語入力システムの開発者として知られている増井さんが書かれたものです。 心理やデザインの話から、開発、トレンド、これからの世界に関してざっと書いていました。単なる読み物以上、がっつりした技術書以下、くらいの感じで読めました。多くの知見や引用資料に基づいた知見は色々学びになります。Kindleで読んだので、気になった引用はさくっと確認できて良い感じでした。基本的に、なんらかの例に対してその多彩な引用からその裏づけを提示し、人とコンピュータ、スマホ、デザインなどの主にはUXと言われるような領域での関係性や観察した内容が連なっています。 デザインでは、”モバイルコンピューティングのために工夫された入出力装置や手法が、そのままユニバーサルデザインへと適用できるものも多いこと”というところが印象的というか、腹に座りました。ユニバーサルデザインのガイドラインとして、ロン・メイス氏らのデザインの7つの原則のほか、W3CのWeb Accessibility Initiative(WAI)、Center for Applied Special TechnologyによるBoddyというツールによるwebページのアクセシビリティ検証などの話もありました。 Testingを行っていると、どうしてもAccessibilityという領域は無視できないものだと思っています。そのソフトウェアなどはユーザに対して使いやすいのか?とか、そういう観点を考えると切っても切れないですね。 苦手は研究の母 という言葉もすごく納得。苦手なものを克服する、解決しようとするところはまさに問題解決ですね。大学など以外でも必要は発明の母とかはよく言われますが、苦手から革命的な解決策が出てきたりとか、すごくありそう。こういうところ、人や考え方の多様性が必要と言われる要因としてすごく納得できるものがありました。知識をつけたり得意なものが多いと 発明できない とはこういうことなのですね。 人の記憶と認証に関して書いている箇所もありました。例えば、忘れにくいとされる人のエピソード記憶からパスワードを自動生成する、という着想のパスワード。それのEpisoPassと言われるツールの紹介は印象的です。単に”パスワード”を設定するというところだけを切り出すのではなく、そのパスワードの安全性を人と結びつけて現実解に落とす。コンピュータの世界と実際の使用者とのつながりを考える興味深い考えでした。 Testingの観点としても役立ちそうな点が多く、また読み返したいと思った一冊でした。 おもしろいなーMore