「われわれはまったく新しい状況に直面すると、つねに、もっとも近い過去の事物とか特色に執着しがちである。われわれはバックミラーを通して現代を見ている。われわれは未来に向かって、後ろ向きに進んでゆく
by Marshall McLuhan, “The Medium Is the Massage”
最近発売された、デザイニング・マルチデバイス・エクスペリエンス ―デバイスの枠を超えるUXデザインの探求を読みました。モバイルアプリを含む、サービス開発に関わっている人におすすめできる本です。自分たちでマルチデバイスを対象にサービスを開発、世に提供している人たちは、昨今の端末の多様性に対する話の整理とユーザ体験の整理ができると思います。実例が非常に豊富で、マルチデバイス環境下における自分たちのサービス/アプリを考えさせられると思います。
今勤めている企業と私の今の役割からいうと、社内のモバイルアプリに横断的に関わっていて、それらをリリース前に少なからず触れるという立ち位置にいます。もしかすると、社内では機能的に一番多くのモバイルアプリに触れているかもしれないです。今まではそのプラットフォームに対してや、デザイナさん、プロジェクトの人が持つ芯に沿って関わっていましたが、そこから一歩進んで関わることができるかも。機能的なテストで終われないですよね。
いろいろ書かれていたのですが、何が重要か?に関しては、よく聞くけれど以下をしっかり考え取り組むことが重要だと言っています。
- ユーザのニーズやゴールは何か?
- メインフロー、及び利用のコンテキストは何か?
- デザインアプローチは最適か?
- 使用されるデバイスは何か? コンテキストを満足できるか?
以下、かいつまんでまとめを。この本は事例が豊富なところがとても良いので、ざっと読んでみることをお勧めします。1日ないし、半日あれば読み終わることできます。
3Cのフレームワーク
マルチデバイス環境における、ユーザ体験を含めたデザインでは以下が重要。
- 一貫性: Consistent
- 連続性: Continuous
- 補完性: Complementary
ネイティブアプリ、Webアプリ、ハイブリッドアプリそれぞれに特徴があるが、操作性を詰めると今はやはりネイティブアプリが強い。
タッチ中心の操作へUXはシフトしてきている。iPhoneやWindows Phoneのキーボードでは、ユーザの操作から次の操作を推測し、タッチの操作領域を連続的に変化させて入力ミスを抑えるようにしている。(個人的に、Windows Phone 8以上は確かに入力しやすかった。)
一貫性のデザイン
- スマーフトフォン、タブレット、デスクトップ/ノートPC、テレビと多様な端末が登場している。
- 一方、それらを跨いで一貫したデザインを提供することはサービスの芯として重要
- レスポンシブデザインは万能薬ではない。
- 小さいスクリーン(スマートフォン)から拡大していくことが今のところ好ましい。
ミニマルインタフェースの一貫性: Google検索
“どんなにすっきりしたシンプルなユーザーインタフェースであっても、優れた一貫性を持つデザインはデバイス間で同じにならない”。 ユーザ体験の中核となる機能は一貫性を持っていても、それを利用するインタフェースはそれぞれの端末の文化に見合ったものを提供することが大事。
一貫性を保ちつつ情報を徐々に増やす: Trulia
- スマーフトフォンでは、追加情報はユーザのインタラクションを契機に表示させる
- タブレットでは追加情報を表示させていく
- デスクトップでは、追加情報にくわえて補完的な情報ものせていく
一貫性を保ちつつも価値を出す
- Android/iOSのガイドラインは目を通す
- 中心となるUXの部分は、各OSの作法に従う
- 各プラットフォームの強みを活用する
- Androidではウィジェットや通知など
- iOSでは、豊富なトランジションやなめらかなアプリケーションの体験
- アプリケーションのレイアウト、フロー、インタラクション、ビジュアルデザインは、プラットフォーム間で一貫性を保つべき本質
- OSが提供する範囲のものは、体験の支柱となるが、その先の想像的な部分には届かない
他にも例題を提示しながら解説…
複数のデバイスからすべてのメディアコンテンツにアクセスできる: Hulu Plus
一貫性のアプローチでは、体験が端末に依存しないことを前提にしている。
連続性のデザイン
- 単一作業フロー
- AppleのAirPlay、AmazonのKindle、Googleドライブなど。連続性が、コンテンツの消費と創造に寄与している。
- 順序的なフロー
端末の多様化に伴い、それらのデバイズ上で提供されるサービスやアプリの品質/スピード/使いやすさやユーザの喜びなどはどのように変化していくのか。全デバイスにおいて同一のUIを提供することは、事実上不可能になってきている。
補完性のデザイン
複数の端末が、様々な関係性を持って補完し合うようにしてデザインされる。
- コラボレーション、コントロール
- 必須、オプション
題材として、ゲームや参加型TV番組などが挙げられる。
総合的な統合
多くの場合、マルチデバイス体験は複数のアプローチを採用している。
一貫性のアプローチは、空間の制約から解放する
補完性のアプローチは、時間の制約から解放する
ユーザの習慣を形成していくことが可能な状態になりつつある。マルチデバイスを使い、連携することでそれをしやすくなってきている。
トレードオフ
- シンプルさ vs 多機能性
- 完全なカスタマイズ性 vs 定義済みの設定
- 慣例に従う vs 新規性を謳う
- 既存のデバイスへのデザイン vs 将来のデバイスのための計画
- すべてのプラットフォーム vs 初期は決められた一部に集中
- オープンで柔軟なプラットフォーム vs 構造化された原則とガイドライン
- 初心者 vs 熟練者
- プラットフォームの基本部品にフォーカス vs ユースケースにフォーカス
- タッチスクリーン vs タッチフリー
- プライベート vs パブリック
人にフォーカスし続ける
- 人はソフトウェアやハードウェアの機能よりも、ストーリーやユースケースに心を動かされます
- ユーザは得ようとしている価値をいますぐ見たいと思っています。あとで見られるという約束ではダメです。そしてその価値は早く見つけられれば見つけられるほど良いでしょう。
- 感情は、行動を起こすための最も強い原動力になります
長い人類(及び動物)の歴史においては、協力することを学び、最も効率的に改善を行った種が繁栄してきた
by チャールズ・ダーウィン